卵巣癌細胞に対するFollicular Stimulating Hormone(FSH)の in vitro, in vivoの増殖促進作用

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  • Stimulatory Effects of Follicular Stimulating Hormone on the Proliferation of Ovarian Cancer Cell Line in vitro and in vivo

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抄録

ヒト卵巣漿液性嚢胞腺癌由来のHRA細胞のin vitro及びin vivoの増殖に対するgonadotropin, 特にFSHの影響について検討し, 以下の成績を得た. すなわち, 1) 細胞数, ^3H-thymidine uptakeはFSHにより有意に増加したが, この変化はBuserelinにより抑制された(p<0.05, t-test). 2) FSHはHRA細胞のG_0/G_1期からS期への移行を促進した(p<0.01, t-test). 3) HRA細胞ではcAMP産生が認められ, FSHにより増加する傾向にあつたが対照群とは有意の変化を認めなかつた. しかしcholera toxinでは有意に増加し(p<0.001, t-test), FSHはHRA細胞のadenylate cyclaseには作用を示さなかつた. 4) HRA細胞はFSH, GnRHa受容体を有し, FSH受容体数はBuserelinにより減少した(p<0.05, t-test). 5) ヌードマウス移植腫瘍では, FSHによりその大きさは有意に増加し(p<0.0001, t-test), また50% survival timeも有意に短縮した(p<0.05, non-parametric Mann-Whitney test). 6) HRA細胞のc-myc発現は, FSHによりin vitro, in vivoで増強した. したがつてFSHは, その受容体を介し, 卵巣癌細胞の増殖をin vitro, in vivoで促進し, GnRHa はFSH受容体のdown regulationによりその作用を抑制する可能性が示唆された. またFSHは, c-myc発現を増強しHRA細胞の細胞周期調節(特にS期)に関与することが示唆された.

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