第二世代の測定法による妊婦のC型肝炎ウイルス抗体陽性率と妊娠, 出産のC型肝炎ウイルス感染に対する影響について

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  • The Positive Rate of Hepatitis C Virus Antibody Detected by the Second Generation Method in Pregnant Women and Influence of Pregnancy and Delivery on HCV Infection

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抄録

Chiron社によるC型肝炎ウイルス(HCV)の抗体測定キットの開発によりC100-3抗体が測定可能となつたが, HCVの非構造部分であるNS-4に対する抗体しか測定できなかつた. そこで今回, 構造部分に対する抗体も測定可能な第二世代HCV抗体測定法のPassive Hemoagglutination Assay (PHA 法)を使用して, 当科受診の妊婦におけるHCV抗体陽性率を検討した. PHA法陽性妊婦については, 従来のC100-3抗体について比較し, 以下の結果を得た. 1) 妊婦235例についてPHA法, C100-3抗体測定を同時に施行したところ, C100-3抗体陽性は2例(0.85%)であつたのに対し, PHA法陽性は4例(1.7%)であつた. 2) PHA法, C100-3抗体共に陽性の2例は妊娠中のnested polymerase chain reaction (PCR法)は陽性であつた. しかし, PHA法のみ陽性の2例は妊娠中のHCV-RNAは陰性であつたが分娩後は陽性となり, PHA法陽性の4例はすべてHCV感染が確認された. すなわち, PHA法はC100-3抗体で検出できなかつたHCV感染も検出可能と思われた. 3) 次にPHA法で妊婦1,198例についてスクリーニングした結果, PHA法の陽性は9例(0.75%)であつた. しかしC100-3抗体陽性はそのうちの4例(0.33%)のみであつた. 4) したがつて, 名古屋市における妊婦のHCV抗体陽性率は第二世代のHCV抗体測定法では0.75%と推定された. 5) PHA法陽性で妊娠中のHCV-RNAは陰性を示した5例中3例は分娩後HCV-RNAが陽性化した. すなわち分娩, 出産によりHCVの増殖がactivateされる可能性が示唆された.

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