シスプラチンの家兎内腸骨動脈注入による生体内プラチナ動態に関する研究

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  • Studies on Pharmacokinetics of Platinum after Internal Iliac Artery Infusion of Cisplatin in Rabbits

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抄録

子宮癌に対するシスプラチン(CDDP)内腸骨動脈注入療法の有用性を明らかにするとともに, CDDPの至適動注速度を知ることを研究目的とし, 家兎を用いたCDDP内腸骨動脈注入モデルを独自に考案, 作製した. CDDPの注入量は1.7mg/kgとし, 2分間, 20分間又は2時間をかけて動脈内注入を行つた. 同量のCDDPを2分間又は20分間かけて静脈内注入し, 対照とした. CDDPの動脈内あるいは静脈内注入後の生体内プラチナ(Pt)動態を明らかにするため, 血清中の総Pt・濾過Pt濃度, 子宮ならびに腎の組織内Pt濃度を測定し, 群間での比較検討を行つた. CDDP注入速度がこれら生体内Pt動態に与える影響についても検討した. また, CDDP内腸骨動脈注入による腎毒性の程度を知るため, 動注後の腎の組織学的変化について観察した. CDDP注入15分後の濾過Pt濃度は動注群において有意に低く, 注入15分後から120分後までのareas under the curveも静注群に比して小さい傾向を示した. CDDP注入24時間後の子宮内Pt濃度は, 2分間又は20分間の動注群において有意に高く, なかでも20分間をかけた動脈内注入によつて最も高くなつた. CDDP動注24時間後の腎組織は, 尿細管の浮腫状変化と, それに伴う内腔の狭小化および糸球体の毛細血管の不明瞭化を示した. 生体内Pt動態を指標とした家兎モデルにおける以上の成績より, 子宮癌に対するCDDP内腸骨動脈注入療法の有用性が示唆された. CDDPの至適動注速度については, 2分間のワンショット動注, 2時間をかけた微量長時間動注に比較して, 20分間の動脈内注入がより効果的である可能性が示された. また, CDDP内腸骨動脈注入に際しても, 静注と同じく腎毒性に対する十分な配慮が必要であることが示唆された.

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