下肢麻痺を伴った先天性亜鈴型神経芽腫の1例

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  • A Case of Congenital Dumb-bell Neuroblasotma With Paraplegia

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抄録

症例は2生日の女児で, 出生時より両下肢弛緩性麻痺を認め, MRI 検査で右後腹膜の原発で脊椎管内へ進展した腫瘍を認めた. 第8生日に腰背部皮下に進展した腫瘍を生検し神経芽腫の診断を得た. 下肢麻痴に対し準緊急的椎弓切除術を考慮したが, 麻捧改善の可能性か低く患児への侵襲が過大であると考えて施行しなかった. 第33生日まで無治療にて経過観察したが, 画像上の腫瘍縮小とわずかながら麻疹症状の改善が得られた. 化学療法開始後も腫瘍縮小は持続し, 第160生日には画像上腫瘍はほぼ消失した. 4歳の現在両大腿の挙上と右膝関節の伸展が可能となっているが, 現在でも両親の介助による車椅子生活を余儀なくされている. しかし, 本症例では椎弓切除術を施行しなかったため, その合併症である脊椎変形は認められず, 装具や介助なしで座位の保持が可能である. 下肢麻操を伴った先天性亜鈴型神経芽腫に対しても, 後天性のものと同様に準緊急的椎弓切除術が行われてきたが, 下肢麻痺の改善が得られたとする報告は少ない. 我々は自験例の経験と文献的考察より, 生下時より弛緩性麻疹を認める亜鈴型神経芽腫に対しては安易に椎弓切除術を行うべきでないと考えている.

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参考文献 (21)*注記

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