CA125分子のheterogeneity : CA125分子はSialyl Tn, CA19-9と複合体を形成する

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  • Heterogeneity of the CA125 Antigen that Coexpresses Sialyl Tn and CA19-9 Antigens
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抄録

卵巣癌培養細胞 (endometrioid carcinoma cell line ; HOC-I細胞) の培養上清および細胞抽出液と, 卵巣癌患者血清および癌組織抽出液からCA125抗原をそれぞれ精製し, 分子heterogeneityについて検討した. CA125の精製は0.6M過塩素酸処理, Sepharose CL-4B, 6M urea加熱処理後Sepharose 6Bによるゲルろ過, およびOC125 affinityカラムにより行った. HOC-I細胞および卵巣癌組織抽出液より精製されたCA125抗原の分子量は1,000KDa以上を呈した. 一方, HOC-I細胞培養上清および卵巣癌患者血清からは分子量110KDaから400KDaに分布するCA125が精製された. CA125分子が他のglycoconjugatesと複合体を形成していることを確認するために, 各種抗体 (OC125, NS19-9, TKH-2, B72.3, CC49, MA54, MA61, PC47H) を96穴ELISAプレートに固相し, probeとしてbiotin標識OC125を用いてdouble-determinant enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)を行った. HOC-I細胞抽出液およびその培養上清や, 卵巣癌組織抽出液およびその患者血清を用いて測定した結果, 癌組織から精製されたCA125抗原上にはTKH-2やNS19-9認識部位 (すなわち, sialyl TnやCA19-9抗原) が存在しており, 一方, 癌患者血清中にもCA125とsialyl Tnの複合体が22%, CA125とCA19-9との複合体が6%の頻度で認められた. これらのCA125複合体は血清中より癌組織において多く認められた. 以上より, 卵巣癌細胞ではCA125抗原がsialyl TnやCA19-9と複合体を形成しているが, ほとんどの症例では遊離型のCA125として血中へ分泌されることが推定された.

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