切迫早産における絨毛羊膜炎の診断のための羊水中グルコース濃度測定の意義

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  • Significance of the Glucose Concentration in Amniotic Fluid for the Prediction of Chorioamnionitis in Preterm Labor

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抄録

切迫早産における絨毛羊膜炎 (CAM) の存在をより直接的に, 早期に予知することを目的に, 切迫早産症例の羊水分析を行った。妊娠24~34週の破水を伴わない切迫早産例46例を対象とし, 入院時に超音波ガイド下に経腹的に羊水を採取した。得られた羊水について, 髄膜炎の診断における脳脊髄液検査に準じて細胞数をはじめ, 蛋白・グルコース・クロールの各濃度, 合成基質法による好中球エステラーゼ, 細菌学的検索を行い, これらの結果と妊娠の転帰・組織学的CAM (Blanc分類のgrade II・III) の有無を比較した。これらのうち, 羊水中グルコース濃度は, 早産・CAM (+) 例, 早産CAM (-) 例, 正期産例でそれぞれ, 19.0±9.1, 28.0±7.6, 51.6±14.5 mg/dlと各群間において有意差を認めた。羊水中グルコース濃度20 mg/dl以下では全例にCAMが存在し, 25 mg/dl以下でも75%と高率であった。また35 mg/dl以下の例では82%が早産に至った。カット・オフ値を25 mg/dlと設定すると, CAM診断に対する鋭敏度, 特異度ともそれぞれ81.8%, 91.4%と良好であった。このカット・オフ値は上記の妊娠週数のいずれでも適用できると考えられた。他の羊水分析項目では, 細胞数増多 (100/mm^3以上), 好中球エステラーゼ陽性が100%の特異度を示したが, 感度がグルコース濃度に比し低かった。以上の結果より, 髄液検査を応用した羊水中グルコース濃度の測定は, CAMの予知に有用であることが示された。特に25 mg/dl以下への低下は, 子宮内感染の存在を念頭に置く必要があると考えられた。

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