硬膜外麻酔分娩時におけるVibro-Acoustic Stimulation Testによる胎児評価とその安全性の検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Evaluation of the Effects of Vibro-Acoustic Stimulation Test on the Fetus during Labor Under Epidural Analgesia and Evidence of its Safety by Way of Auditory Brainstem Response
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抄録
近年, Vibro-Acoustic Stimulation Test (以下VASTと略す) は胎児のwell-beingの評価法として注目されている。また, Auditory Brainstem Response (以下ABRと略す) は新生児の脳幹機能の他覚的評価及び聴力機能のscreeningとして利用されている。しかし, 硬膜外麻酔 (以下硬麻と略す) 下無痛分娩時におけるVASTの評価はなく, 一方では, VASTによる新生児の聴覚機能に対する影響が懸念されているのが現状である。そこで本研究は合併症のない満期産頭位経腟分娩を対象とし, 1) 硬麻下分娩時におけるVASTによる胎児のwell-beingの評価, 及び, 2) ABRを用いてVASTによる新生児の聴力機能に及ぼす影響について検討し, 以下の結果を得た。1) VASTは硬麻前と硬麻後10分に50例に施行し, 硬麻前後にVASTによるCTG波形が変化したものは5例 (10%) であった。これらの症例は出生後に全例〓帯巻絡が認められたことから〓帯因子による影響を推測された。新生児の聴力機能はABRによる潜時-刺激強度曲線 (Latency-Intensity curve (L-I curve)) を用い検討した。その結果, 硬麻群でVASTを施行した症例群, 硬麻群でVASTを施行しなかった症例群, 非硬麻群でVASTを施行した症例群, 非硬麻群でVASTを施行しなかった症例群の各群においてL-I curveの変化は認められなかった。また, 反応閾値は10dBであった。以上, 硬麻下の胎児のwell-beingの評価法としてのVASTはCTG波形に対して問題となるような硬麻の影響が認められず, したがって, VASTは硬麻時にも非硬麻時と同様に胎児評価に使用できると考えられた。また, ABRを利用したVASTによる新生児の聴力機能への影響についての検討では硬麻の有無にかかわらず異常を認めずVASTは安全と考えられた。
収録刊行物
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- 日本産科婦人科學會雜誌
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日本産科婦人科學會雜誌 46 (3), 247-252, 1994-03-01
日本産科婦人科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1540854195312351104
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- NII論文ID
- 110002108938
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- NII書誌ID
- AN00190060
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- NDL-Digital
- CiNii Articles