羊水量および胎児腎機能とIUGRにおける胎児仮死との関連性に関する研究

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  • The Relationship of Amniotic Fluid Volume and Fetal Renal Function to Fetal Distress in Intrauterine Growth Retardation

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抄録

慢性低酸素血症を伴うIUGRでは, 腎血流量低下の結果, 尿量が減少しているものと推測される. 胎児尿量が羊水量に反映されると仮定すると, 簡易羊水量推定法である羊水深度を計測することにより, 胎児尿量を推定できるものと思われる. そこで, まず羊水深度の正常域を求め, ついで単胎正期産例を対象とし, 胎児時間尿産生率(HFUPR)と出生体重, 羊水深度および新生児の尿中β_2-microglobulin (β_2-MG)値との関係について検討した. さらに, 以上の結果からIUGRにおける胎児仮死発生予測法について検討した. 羊水深度の標準値から, 羊水深度が30mm以上80mm未満のものを羊水深度正常群, 30mm未満のものを羊水深度減少群と設定した. 出生体重(x)とHFUPR(y)との間には, y=0.0098x-3.219 (r=0.625, p<0.01)の有意な相関が認められた. 同様に, HFUPR(x)と羊水深度(y)との間には, y=1.139x+25.058(r=0.615, p<0.01)の有意な相関が認められた. 明らかな蓄尿~排尿サイクルが認められなかったSGA 3例の羊水深度は, いずれも30mm未満であり, 生後1日目の尿中β_2-MGは, 明らかな蓄尿~排尿サイクルが認められた例と比較していずれも高値を示していた. IUGRにおいて, 羊水深度減少群および正常群に占める胎児仮死例の割合は, それぞれ76.5%および17.3%であり, 両群間に推計学的な有意差を認めた(p<0.01). 以上のことから, 羊水深度を計測することにより, 慢性低酸素血症による胎児尿量の減少を把握することが可能であると思われる. また羊水深度が30mm未満のものを羊水深度減少群と定義すると, IUGR例のなかでも羊水深度減少群では, 胎児仮死が高頻度に発生していた.

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