小児交通性陰嚢水腫に対する手術術式の簡略化について

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  • Simple Surgical Approach to Hydrocele Testis in Infancy and Childhood

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抄録

小児交通性陰嚢水腫の根治術において, 腹膜鞘状突起を高位結紮した後の水腫の嚢処理に関しては, 各施設により異なった術式をとっている.水腫の嚢を術野から開窓する術式, 水腫の嚢をできるだけ切除する術式などがある.しかし, これらの術式では, 術野から水腫までの距離がある場合, 水腫に到達しづらいことがある.われわれは, 鼠径部の術野からは腹膜鞘状突起を単純高位結紮するのみとし, 術野を閉じた後に注射器により水腫を穿刺吸引することとした.1992年1月から1996年12月までの5年間に当科において, 12例の男児精系水腫, 66例の男児交通性陰嚢水腫に対して根治術を行った.この66例の交通性陰嚢水腫症例は, 右側40例で左側24例で両側2例であった.66例すべてに上記術式を用いた.平均手術時間は17分であった.術後早期の陰嚢腫脹はなかった.現在まで1年から6年の範囲で経過観察しているが, 術後陰嚢水腫再発は皆無であった.小児交通性陰嚢水腫手術では, 腹膜鞘状突起の高位結紮が大切であり, 水腫嚢を切除したり開窓したりする必要はない.術野閉創後に水腫の穿刺吸引を加えればよい, と考える.

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