当科におけるメッケル憩室の検討

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  • Meckel's Diverticulum in Children

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抄録

【目的】小児の症候性メッケル憩室症の特徴を明らかにした.また, 無症状で経過するメッケル憩室と症候性メッケル憩室症の相違点より手術時偶然発見されるメッケル憩室の治療方針について考察を加えた.【方法】当科で経験した症候性メッケル憩室症10例(以下有症状群)と開腹手術時偶然発見されたメッケル憩室25例(以下無症状群)を対象とし, まず有症状群の全症例を提示し, 症候性憩室の特徴を示した.また無症状群も含め全症例を異所性胃粘膜の有無により胃粘膜(+)群, 胃粘膜(-)群の2群にわけ, それぞれの憩室の形態的特徴を明らかにした.【結果】有症状群のうち下血症例8例は術前の診断が可能で待機手術を行ったが, 憩室穿孔・イレウスの症例は術前診断が困難で緊急手術を必要とした.また下血症例8例では異所性胃粘膜が認められたが, 憩室穿孔・イレウスで発症した2例では認められず胃粘膜の有無が下血の発生に重要であることが伺われた.下血症例8例の異所性胃粘膜の病理学的検討では慢性炎症像を8例中7例で認めたがH.pyloriは検出されなかった.胃粘膜の有無による憩室形態の比較では, 胃粘膜(+)群の憩室がmesenteric siteに偏位し, mesodiverticular artery bandを認めることが多いのに対し, 胃粘膜(-)群の憩室は逆にantimesentericにあり, mesodiverticular artery bandを認めないことが多かった.【結論】無症状性のメッケル憩室は有症状性との形態的相違点を認めるが, 症候性となりえるかどうかの予測は不確実で, メッケル憩室原発の腫瘍性病変の報告もあり少なくとも小児例では偶然発見された憩室も原則的に切除することが望ましいと思われる.

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