肥厚性幽門狭窄症 351 例の検討 : 第 28 回九州小児外科研究会アンケート調査報告

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  • Results of a Five Year Survey of 351 Cases of Hypertrophic Pyloric Stenosis in Kyushu, Japan

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抄録

【目的】肥厚性幽門狭窄症の臨床像の現況を検討する.【方法】1993年から5年間の肥厚性幽門狭窄症症例について九州地区の小児外科診療施設にアンケート調査を行った.【結果】アンケートの回答率は61.5%で, 24施設より計351例の肥厚性幽門狭窄症を集計し得た.男女比は4 : 1, 出生順では第1子が51.9%を占めた.出生体重は平均3113gで, 低出生体重児は8.9%であった.家族発生を9例(2.6%)に認め, 合併奇形ないし合併病変は24例(7.0%)に認めた.74.6%が新生児期に, 19.9%が生後1カ月∿2カ月未満に発症していた.診断には92.0%の症例で超音波断層検査が行われていたが, 幽門腫瘤の触知は70.7%にとどまり, 胃十二指腸造影は25.9%に行われたのみであった.入院時の血清Cl値, Base Excess値の平均はそれぞれ98.8mEq/l, +3.9mEq/lで, 大部分が軽症例であった.339例(96.6%)に手術が行われ, 大多数が右上腹部横切開によるRamstedt手術が選択されていたが, 臍部切開法や腹腔鏡下幽門筋切開術も少数例に行われていた.術中粘膜穿孔は4.7%に認めた.術後に有意の嘔吐を認めたのは14例(4.2%)で, うち3例に再手術が施行された.硫酸アトロピンの内服療法は効果が乏しかったが, 静注療法は9例に施行され6例で有効であった.【結論】近年の肥厚性幽門狭窄症の大部分が軽症例で, 診断には超音波断層検査が多用されていたが, 幽門腫瘤の触知の重要性を再認識すべきである.治療は従来の開腹Ramstedt手術に限らず, 腹腔鏡下手術, 臍部切開法, 硫酸アトロピンの静注療法など他の治療法も選択し得るようになった.

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