マウス未受精卵および受精卵の凍結融解法に関する研究

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  • Effects of Cryoprotectants and Sucrose Dilution on the Survival of Unfertilized and Fertilized Mouse Eggs after Freezing and Thawing

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抄録

各種哺乳動物の未受精卵の凍結保存法に関しては, 凍結融解後の生存性の高い方法は確立されていないのが現状である. 本研究において著者らは, ICRマウスを用いて未受精卵および受精卵について凍結融解後も高い生存率を示す凍結融解法の開発を試みた. 凍結方法は, 実験Iでは, 従来から行われている緩慢法で(1)-a 10% Glycerol, または(1)-b 1.5M DMSOを耐凍剤として用いた方法, (2)急速法および, (3)Vitrification法を施行した. 実験IIでは, 凍結法はすべて緩慢法を用い, 希釈法と耐凍剤を組み合わせた以下の4実験を試みた. (4)-a 耐凍剤として10%Glycerol+0.25M sucroseを用い, 希釈はOne-step sucrose dilution法を行つた. (4)-b 耐凍剤は, 1.5M DMSO+0.25M sucrose希釈はOne-step法. (5)-a 耐凍剤は, 10%Glycerol+0.25M sucrose, 希釈は5-step sucrose dilution法. (5)-b 耐凍剤には, 1.5M DMSO+0.25M sucrose, 希釈は5-step法の四つを行い, すべて未受精卵と受精卵(8~16細胞胚)を同時に凍結融解した. 成績は, 実験Iでは, 未受精卵の生存率は, (1)-a 17/146 (11.6%), (1)-b 6/55 (10.9%), (2)0%, (3)0%, 受精卵では, (1)-a 38/65 (58.5%), (1)-b 30/61 (49.2%), (2)6/30 (20.0%), (3)4/48 (8.3%)であつた. 実験IIでは, 未受精卵の生存率は, (4)-a 11/63(17.5%), (4)-b 7/52(13.5%), (5)-a 11/57(19.3%), (5)-b 49/108(45.4%), 受精卵では, (4)-a 45/62(72.6%), (4)-b 38/59(64.4%), (5)-a 27/48(56.3%), (5)-b 19/76 (25.0%), を示した. なお, 対照は未受精卵158/263 (60.1%), 受精卵49/73 (67.1%)であつた. 未受精卵では耐凍剤として1.5M DMSO+0.25M sucroseを用い, 希釈法は, 5-step sucrose dilution 法を行つた(5)-bの方法が他の7方法よりも有意に生存率が高かつた(p<0.01). 受精卵は(4)-aの方法が生存率において高い傾向を示した. マウス未受精卵において対照とほぼ同程度の融解後生存率を示す新しい凍結融解希釈方法を開発した.

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