ヒト胎盤基底板におけるNon-villous Trophoblastsの機能と形態に関する研究

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  • A Histologic and Functional Evaluation of Non-villous Trophoblasts in the Basal Plate of Human Placenta

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抄録

ヒト妊娠初期の絨毛, 胎盤基底板, 脱落膜層および子宮筋層内におけるtrophoblast(Tr)細胞の機能と形態学的な差について, 比較検討した. 1) 付着絨毛部から床脱落膜層までの胎盤基底板ではcytotrophoblast (CT)細胞柱が発達し, 付着絨毛子宮側でCT殻を形成しているTr細胞が, 隣接するfibrinoid層を貫き脱落膜細胞層へと侵入していた. 2) CT殻から脱落膜層内へ侵入したinvasive Tr細胞の超微像は, 暗調で発達した粗面小胞体(rER)と糸粒体(Mt)を有しているが, 筋層内のそれは互いに融合し多角となり, 細胞質内に融合の遺残と思われるdesmosomeを認めた. 3) hCGとそのsubunitsの局在は絨毛のsyncytiotrophoblast(ST)細胞層に認め, 脱落膜細胞層から筋層内のinvasive Tr細胞には局在しなかつた. 4) hPLは, 絨毛のST細胞層と脱落膜層, 筋層内のinvasive Tr細胞に局在した. 5) 酵素電顕から絨毛のST細胞層におけるhCGとそのsubunitsおよびhPLの局在を観察すると, rERのribosome顆粒に一致した. 従つて以上の所見と成績は, villous Tr細胞とinvasive Tr細胞とが妊娠時それぞれ異なつた働きないし役割を有する可能性があり, また内分泌学的にもhCGとhPLとは異なつた産生, 分泌機構を有することを明らかにしたものと思われる.

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