婦人科悪性腫瘍組織に発現するThomsen-Friedenreich抗原とその血中抗体価に関する臨床的研究

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  • Clinical Implication of Serum Antibody to Thomsen-Friedenreich Antigen in Patients with Gynecological Malignancies

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抄録

Thomsen-Friedenreich抗原 (T抗原) は種々の癌組織に発現する糖鎖抗原で, 宿主に対し免疫原性を示すことが知られており, ヒト血中には自然抗体としてT抗体が存在する. 今回, 我々は, 婦人科癌における血中T抗体価を赤血球凝集反応を用いて測定し, 以下の結果を得た. (1) T抗体価は, 健常人および良性疾患患者に比し, 担癌患者では低値を示すものが多く, 特にT抗原の発現率の高い子宮内膜癌や卵巣癌では著明に低下 (p<0.05)していた. また, T抗原の組織発現量との関係も認められた. (2) 術前値に比し, 術後T抗体価の有意な増加 (p<0.01) が認められ, 子宮頚癌では血中TA-4値と逆相関することが示された. 以上の成績から, 婦人科癌患者のT抗原に対する免疫応答性の存在が明らかとなり, 血中T抗体価の変動は, 癌組織の浸潤度や進展の有無を知るパラメーターの一つとして有用な役割を果たす可能性が示唆された.

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