子宮内股の脱落膜化におけるIGF結合蛋白-1の作用機構の研究

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  • Studies on the Mechanism of IGFBP-l-induced Endometrial Decidualization

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抄録

目的:子宮内膜間質細胞はin vitroでプロゲステロン(P_4)により脱落膜化し, プロラクチン(PRL)およびインスリン様成長因子結合蛋白-1(IGFBP-1)を分泌することが知られている.我々は, IGFBP-1が子宮内膜間質細胞の脱落膜化を直接惹起することを報告したが, 本研究では, IGFBP-1の子宮内膜間質細胞の脱落膜化における作用機構の解明を試みた.方法:子宮内膜間質細胞培養系において, 細胞とIGFBP-1との分子間の結合を生体分子間相互作用解析装置IAsys(Affinity sensors社, Cambridge, UK)により解析し, 同培養系に種々の濃度のIGFBP-1を単独で添加した場合のPRL産生の定量を行い, IGFBP-1による脱落膜化と, IGFBP-1と子宮内膜間質細胞表面の相互作用の関係を検討した.成績:固相化した子宮内膜間質細胞にIGFBP-1を添加するとIGFBP-1は細胞表面と結合し, その解離定数(K_D)は1.67×^10<-7>Mであった.子宮内膜間質細胞培養上清中のPRL濃度は, 添加したIGFBP-1の濃度が1.0×10^<-7>M以下ではコントロールとの間に有意差を認めなかったのに対し, 1.0×10^<-5>Mではコントロールの約2.6倍に増加し(p<0.001), そのED_50は3.8×10^<-7>Mで, 解離定数とほぼ一致した.結論:従来よりP_4は子宮内膜間質細胞の脱落膜化を惹起することが知られているが, 本研究より, P_4により子宮内膜局所で産生されたIGFBP-1が子宮内膜間質細胞の脱落膜化を惹起し, その作用機序として, IGFBP-1が子宮内股間質細胞表面の分子との結合を介することが示唆された.

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