妊娠ブタ子宮動脈血管条片の昇圧物質に対する反応性について

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  • The Responses of Isolated Uterine Arteries from Pregnant Sows to Vasoconstrictive Agents

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抄録

妊娠個体の子宮血流量維持は胎児育成にとって重要な意義をもつがangiotensin?U(A?U)投与に対しては血流量の増加を招くのに対しnorepinephrine(NE)投与には逆に減少を示すことが知られている.これらの妊娠時子宮血行動態の特性,とくにNEに対する反応性亢進が血管壁自体の反応性変化にもとづくものであるかにつき検討する目的で妊娠末期および経産非妊ブタの子宮動脈,腸間膜動脈,大動脈条片を用い,95%O_2・5%CO_2通気下の37℃ Krebs-Henseieit液中でのA ?U(0.05~1.0μg/ml),またはNE(0・05~1.0μg/ml)各5段階濃度の投与に対する血管張力増加度(?儺)を妊・非妊間で比較するとともに,子宮動脈において交感神経α遮断剤phentolamine 0.1μg/ml,β遮断剤propranolol 1μg/mlならびにCa拮抗剤verapami 10μg/ml,外液Ca^<2+>濃度変化などを負荷した際のNEに対する反応性への影響につき検討を加え,つぎの結果を得た.1)妊娠末期子宮動脈標本の?儺は最小投与量を除く全てのA?U投与量に対して非妊時に比し有意の減少がみられ,A?U1.0μg/ml投与時には妊娠時標本で非妊時の50%に抑制されたが,腸間膜動脈,大動脈条片では妊娠標本で軽度の減少傾向をみたにすぎない.2)NE投与に対しては妊娠時子宮動脈条片の?儺がA?Uとは逆に非妊時よりも有意に増加し,NE1.0μg/ml投与時では非妊時標本に比し34%の増加を示したが,腸間膜動脈,大動脈標本では差がみられなかった.3)NEによる子宮動脈の?儺はphentolamineの前投与によって著しく抑制され,妊・非妊標本ともほぼ同レベルにまで低下したが,propranololの前投与にては対照と有意差をみなかった.4)verapamil前投与によってはNEに対する反応が妊・非妊標本とも著しく抑制され,とくに妊娠標本での抑制が大であった.またCa^<2+>キレート剤EDTA 1mMを含む無Ca^<2+>緩衝液中での?儺はさらに強く抑制を受けた.以上より子宮動脈血管壁はA?Uに対して他の系統血管よりも著しい不応性を示し,逆にNEに対してはCa^<2+> influxの増加を介したα-receptorの感受性亢進によって反応性の増加を招き,妊娠個体における子宮血行調節に関与することを知り得た.

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