Gelatin substrate slide使用によるAcrosin簡易測定法の開発とその臨床応用に関する研究

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  • Studies for Development and Clinical Use of the Simplifed Method of Acrosin Measurement by Using Gelatin Substrate Slides

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抄録

ヒト精子のacrosin proteolytic activity(APA)を検索する為,gelatin substrate slideを利用したacrosin簡易測定法を開発し,その基礎及び臨床応用につき検討し,次の結果を得た.(1)Soybean trypsin inhibitor500μg/ml,N-α-p-tosyl-L-lysine chloromethyl ketone(TLCK)1.5mg/mlの濃度でAPAは完全に抑制された.(2)希釈精液のAPAは希釈倍数の増加につれて漸増し,8~10倍で最大値を示したが,洗浄精子浮遊液のAPAの約70%を示すにすぎなかつた.(3)男性不妊患者におけるAPAの検討では,精子濃度によりその値は異なり,20×10^6/ml未満群が最も低値を示し,次いで20~52×10^6/ml群,52×10^6/ml以上群の順で高くなり各群間に有意差(p<0.001)が認められた.しかし,妊孕性の証明されたControl群のAPAに比較し各群共,有意に低値を示した(p<0.001).精子運動率とAPAとの相関では,精子運動率の高い群ほどAPAは高値を示し,特に運動率40%以上群と40%未満群間には有意差(p<0.01)が認められた.運動のqualityとAPAとの相関では,qualityが良好な程APAは高値を示し,特にGood群(2b<)はPoor群(2a≧)やEquivocal群(2b≧>2a)に比し有意(p<0.05)に高値を示した.(4)透明帯除去ハムスター卵子を用いたsperm penetration test(SPT)における貫通率とAPAとの相関では,貫通率が低い程APAも低値をとる傾向がみられたが,統計学的には両者間に有意の相関は認められなかつた.(5)精子不動化抗体のAPAに対する影響の検討では,不動化試験陽性例と陰性例間のAPAには有意差は認められなかつた.(6)殺精子剤Nonoxynol-9(N-9)のAPAに対する影響の検討では,N-9による15秒前処置群及び40秒前処置群共にN-9濃度増加に伴いAPAは減少してlinear log-dose response curveを示し,N-9 250μg/mlの濃度で両群共にAPAは完全に抑制された.また,同濃度下では40秒前処置群の方が15秒前処置群に比べて低値を示した.

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