分娩開始後の母体血中非抱合型エストリオールの動態について

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  • Studies on the Alteration of the Unconjugated Estriol Level of Maternal Vein after the Onset of Labor

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抄録

分娩開始後の正期産218例および正期産予定帝王切開26例の母体血中非抱合型E_3を測定し, 種々の産科学的因子と母体血中非抱合型E_3との関係について検討を加えた. (1) 分娩開始後の母体血中非抱合型E_3値は, 分娩開始前の予定帝王切開例の母体血中非抱合型E_3値と有意差は無かった. (2) 陣痛発来前・陣痛発来後を問わず, 初産婦と経産婦では, 母体血中非抱合型E_3値に有意差は無かった. (3) 分娩発来後母体血中非抱合型E_3には, 出生児の性別による有意差が無かった. (4) 経産婦では, 分娩発来後の時間の経過と供に母体血中非抱合型E_3は, 漸時低下した. (5) 分娩発来後も経産婦では, 母体血中非抱合型E_3値は, 出生体重・胎盤重量と正の相関を示した.しかし初産婦では, これらの因子との相関は認められなかった. (6) fetal distressと診断した時点での母体血中非抱合型E_3値は, fetal distressの無かった母体値よりも, 有意に低値だった. 以上のことから母体血中非抱合型E_3は, 陣痛が開始してからも, 胎児・胎盤機能と関連している可能性および, 陣痛が長時間持続すると母体血中非抱合型E_3が低値となる可能性などが示唆された.

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