母児相関におけるcorticosteroidsの動態とその臨床的意義

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  • The Dynamics of Corticosteroids Levels in Maternal and Fetal Plasma

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抄録

妊娠・分娩・産褥時における母児血中のcortisolの動態とその臨床的意義について検討した.母体血中cortisol値は妊娠経過と共に漸増し,妊娠末期には非妊時の3~4倍に達した.分娩時の母体血中cortisol値は分娩所要時間の延長と共に上昇し,分娩様式別には,急速遂娩例>誘発分娩例>正常分娩例>陣痛発来前帝王切開例の順に,母体へのストレスが大きい分娩ほど高値を示すことが認められた.一方,自然陣痛発来例の膀帯動脈血中cortisol値は,陣痛発来前帝王切開例のcortisol値と比較して有意な上昇を示さなかった.さらに正常分娩例と無脳児分娩例の比較検討より,膀帯血中COrtiSO1は主に母体に由来すると考えられた。産褥期血中cortisol値は,分娩後2日目で分娩前(陣痛開始前)のレベルに,6日目以降で非妊時のレベルに尿った.以上の成績より,分娩時に生ずる血中CortiSolの上昇は,陣痛および分娩がストレスとして母体に作用した結果であり,分娩時に起りうる異常事態に備えての母体ならびに胎児の合目的的な適応現象と考えられ,分娩発来機構への直接的関与は否定的であることが示唆された.

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