超音波パルスドプラ法による妊婦骨盤内動脈及び臍帯動脈の血流動態に関する研究

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  • Measurement of Blood Flow in Maternal Pelvic Artery and Umbilical Cord Artery with the Ultrasonic Pulsed Doppler Flow Method

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抄録

超音波パルスドプラ法を用い,妊婦の姿勢による骨盤内動脈の血流動態の変化をしらべ,また正常群と妊娠中毒症群について,妊婦骨盤内動脈と胎児臍帯動脈の血流動態を比較検討した.1)仰臥位から左下側臥位にすると,母体右側骨盤内動脈血流量の増加傾向がみられた.2)ストリップチャート記録のソナグラム分析には,Fp(最高速度),SWp(Fpでのスペクトラムの幅)/Fp,AT(Fpまでに要する時間)/ET(三相性波形の第一相に要する時間)を用いた.Fpは,正常群よりも妊娠中毒症群に高い傾向があり,特に浮腫群にその傾向が大であつた.SWp/Fpは,浮腫群では正常群よりも低値の傾向がみられ,蛋白尿を伴う高血圧群は正常群よりも高値を示した.AT/ETは.特に傾向がみられなかつた.4)末梢血管抵抗の指標として,妊婦骨盤内動脈では,pulsatility index(PI),胎児臍帯動脈では,resistance index(RI)を用いた.PIは,正常群よりも妊娠中毒症群に高値の傾向がみられた.RIでも同様で,妊娠中毒症では,浮腫群よりも蛋白尿を伴う高血圧群に高値であつた.5)ヘマトクリットとフィブリノーゲンは,ともに妊娠中毒症群で高値の傾向があつたが,有意差はなかつた.以上の成績から,体位変換により子宮による骨盤内血管圧迫は除去され,また妊娠中毒症では,全身血管抵抗及び子宮胎盤血管床抵抗が増大しているものと考えられた.

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