光化学療法の臨床応用に関する研究

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  • Clinical Studies on Photoradiation Therapy with Hematoporphyrin Derivatives (HpD) and Argon Dye Laser

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抄録

光感受性物質であるhematoporphyrin誘導体(HpD)とargon-dyeレーザー照射による光化学療法(photoradiation therapy、PRT)を外陰部腫瘍4例、膣癌1例、子宮頚癌1例、子宮頚部上皮内癌(carcinoma in situ、CIS)8例に対して施行し、以下の結果を得た。1)HpD全身投与群では膣癌1例がPRT後、6ヵ月現在、CRを示し、外陰癌2例がPR、外陰癌1例、外陰ぺ一ジェット病1例が、NCであった。組織学的効果としては腫瘍組織の変性、壊死がみられ、細胞変化としては核がpyknoticに濃染萎縮する細胞と淡染膨化する細胞が主にみられた。腫瘍体積の大きい症例、腫瘍表面が正常上皮でおおわれている症例、ぺージェット病などHpD取り込みに問題がある症例はPRTの適応ではないと考えられた。2)HpD局所投与群ではPRT後のコルポ診断と手術摘出標本の組織学的検索より、CIS2例でCR、子宮頚癌1例、CIS6例でPRを示した。CRを示した症例はHpD局注による局所投与群であり、コルポ診では病変部は頚管内にはなく、外子宮口より外側に確認された。PRを示した2例はglandularinvolvementとして、1例は頚管内病変として腫瘍の残存が認められた。HpD局注によるPRTは副作用を防げる点、効果の確実性から、PRTの一方法として有効と考えられた。以上より、PRTの臨床応用に際しては適応症例の選択とともに、HpD投与法のくふうによる腫瘍組織へのHpDの取り込み改善および、組織浸達性のすぐれたレーザー器機の開発が望まれた。

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