高速液体クロマトグラフィーによる妊婦血清E_3,E_2の迅速測定法

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  • Rapid Measurement of Estriol & Estradiol by High Performance Liquid Chromatography (HPLC)

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抄録

今日の産科学で胎児胎盤機能検査としての尿中・血清中eStriolの測定は,もっとも重要な位置をしめ,測定法としてradioimmunoassay(RIA)やlatexagglutination inhibitionreactionを用いた方法が一般に広く行われている.われわれは,高遠液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い血清中のestrogenを分離し,螢光光度計で測定することにより妊婦血清中の非抱合型estriol(E3),estradiol(E2)の同時測定が約20分で,しかも簡単な操作で可能な機器を作製したのでここに報告する.この装置によって妊娠20週から41週の正常妊婦61症例につき,非抱合型E3,E2の測定を行った.さらに同検体をRIA系で測定することにより両者の相関を検討した.妊婦血清中E_3値(n≧5)は,HPLC測定系では,5.1±0.4ng/ml(mean±S.E.)~14.0±1.1ng/ml,同検体のRIA系測定値は4.4±0.5ng/ml~10.3±1.2ng/mlであった.同様に同検体のE_2測定値は,HPLC系では,12.2±1.5ng/ml~26.0±2.2ng/ml,RIA系では,17.3±1,6ng/ml~33.4±2.2ng/mlであった.HPLCで得られた値の変動係数は,within day CV E3:3.2%~10.0%,E2:3.6%~11.0%,between dayCVE3:6.3%,E2:4.9%,回収率93%以上であった.HPLC測定値とRIA値との相関は,E3:Y=0.875X-0.172相関係数10.899,E2:Y=0.972X+6.791相関係数:0.841(Y=RIA値,X=HPLC値)であった.以上の結果よりHPLCによる妊婦血清中のestrogenの測定は,胎児胎盤機能を評価する上で近い将来,もっとも有力た測定方法となることが期待できる.

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