妊娠時における血中placental leucine aminopeptidase(P-LAP)の動態

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  • Estimation of Placental Leucine Aminopeptidase (P-LAP) in Pregnancy Sera

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抄録

妊婦血清中placental leucine aminopeptidase(P-LAP)を連続測定し,P-LAP測定の胎盤機能検査法としての可能性につき検討し,以下の事案を明らかにした.1)正常妊娠:妊娠7週に10.0単位と低値を示すP-LAP値は妊娠の進行とともに増加し,妊娠39週には100.8単位を示し,以後の増加は認められなかった.2)自然陣痛発来前のP-LAP動態:正常妊娠分娩例を陣痛発来日から逆算した28日間の動態を検討すると,P-LAPは陣痛発来11日前まで増加するが,以後の増加は認められず(plateau),陣痛発来時のP-LAP値は100.1単位であった.3)過期妊娠:健常児を分娩した20例では,P-LAPがplateauを示してから14日以内に自然陣痛が発来し,陣痛発来時のP-LAP値は正常妊娠と比べて有意差は無かった.一方,重症新生児仮死となった4例では,P-LAPがplateauを示してから14日以上経過して自然陣痛が発来し,陣痛発来時のP-LAP値は正常妊娠と比べて低値を示した.4)切迫早産:安静療法のみで経過観察した軽症群とisoxsuprine hydrochloride持続点滴を行なった重症群を正常妊娠と比較すると,P-LAP値は正常群>軽症群>重症群で推移した.5)妊娠中毒症:軽症妊娠中毒症のP-LAPは妊娠36週以降では正常妊娠より高値を示した.重症妊娠中毒症のP-LAPは血圧が軽症の間(妊娠35週以前)は正常妊娠より高値を示すが,血圧が重症化すると(妊娠36週以降)P-LAPは激減し,妊娠39,40週には正常妊娠より低値となった.6)P-LAPと胎盤重量及び新生児体重:正常妊娠では胎盤重量,新生児体重とも良好な相関関係が認められたが,異常妊娠(過期妊娠,切迫早産,妊娠中毒症)では胎盤重量のみ相関が認められた.以上の結果から,妊婦血中P-LAPの測定は胎盤機能検査法の一つとして有用性が明らかになった.

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