十二指腸潰瘍穿孔を契機に発症した甲状腺クリーゼの1例

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タイトル別名
  • A Case of Thyroid Crisis due to a Perforated Duodenal Ulcer

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抄録

症例は53歳の女性で, 突然の腹痛にて夜間救急外来を受診した.既往歴は特記事項なし.十二指腸潰瘍穿孔による汎発性腹膜炎と診断され緊急開腹し, 大網充填, 腹腔内洗浄ドレナージ術を施行した.術前から高血圧, 洞性頻脈が認められた.術後甲状腺腫大を認め甲状腺クリーゼを疑い, 甲状腺機能の精査を行った.結果判明前に, 術後14時間後よりチアマゾール90mg/day, イオパミドール1ml/dayで開始し, 塩酸ジルチアゼムの持続静注を行った.その後, 採血結果から甲状腺機能亢進症と診断された.術後経過は概ね順調で中枢神経症状, 心不全徴候を呈することなく, 術後5日目より経口摂取開始し, それに伴いチアマゾール, プロプラノロールの内服を開始した.甲状腺機能も正常化したため術後15日目に退院した.甲状腺クリーゼはまれであるが, 手術が誘因となりえ, 発症すると致死率が高いため, 常に念頭におく必要がある.

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