養蚕とその関連職種従事者にみられる過敏性肺炎(養蚕者肺症)に関する臨床的研究

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  • HYPERSENSITIVITY PNEUMONITIS RELATED TO SERICULTURE : SERICULTURIST'S LUNG DISEASE

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抄録

養蚕従事者にみられる間質性肺疾患について臨床的検討を行った.対象症例は男1例, 女4例で, 年齢は48-70歳, 職業は養蚕, 蚕種採取, 繭の選別で, これら作業への従事期間は10年以上であった.咳などの呼吸器症状は全例にみられ, 3例は症状発現と作業との間に関連があり, 発熱などの症状もみられたが, その程度は軽度であった.発症様式から急性型3例と潜行型2例に分けられた.有症状期では一般検査で炎症所見が, 胸部レ線ではび慢性粒状影や網状影が, 肺機能では拘束性障害や拡散能低下, 低酸素血症がみられた.組織学的には1例でH.P.に特徴的な肉芽腫性間質性肺炎像がみられた, ツベルクリン反応は3例中1例で陰性であった.蚕体成分に対する沈降抗体は全例で検出され, これらを抗原としたMITは3例中2例で陽性であった.蚕体成分の抽出抗原を用いた吸入誘発試験は全例陽性であった.以上より本5例は「カイコ」体成分の吸入により発症した過敏性肺炎で, その発症機序としてIII型とIV型アレルギー反応の関与が示唆された.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 35 (4), 262-274, 1986

    一般社団法人 日本アレルギー学会

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