小児気管支喘息患者における定量噴霧式吸入器によるプロカテロール吸入前後の動脈血液ガスと呼吸機能の変化

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  • EFFECTS OF PROCATEROL ON ARTERIAL BLOOD GAS AND PULMONARY FUNCTION IN ASTHMATIC CHILDREN

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抄録

β-刺激剤の吸入の問題点の一つに吸入後の低酸素血症の増悪がある.今回我々は16例(のべ19回)の小児気管支喘息患者を対象に定量噴霧式吸入器によるプロカテロールの吸入(10μg)を行い, 吸入前後の動脈血液ガスと呼吸機能の変化を検討した.その結果, (1)吸入前のPaO_2と%FEV, および%V_<50>の間には正の相関関係があった.(2)19例中11例(57.9%)で吸入後PaO_2は平均6.6mmHg低下し, 5mmHg以上低下した症例は19例中6例(31.6%)であった.吸入後最も低下した症例は-14mmHgであった.(3)PaO_2の変化は吸入後5分が最も著しい症例が多かった.(4)吸入5分後のPaO_2の変化と吸入前の%FEV_1, %V_<50>とは正の相関関係にあり, 5mmHg以上低下した群では吸入前の呼吸機能は上昇群に較べて有意に低かった.(5)重症群は中等症群に較べ, 吸入後PaO_2が低下しやすかった.(6)A-aDO_2の結果より吸入後のPaO_2の低下は換気・血流の不均衡の増大によることが推察された.(7)心拍数に有意な変動はなく, 副作用を思わせる訴えはなかった.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 39 (12), 1590-1597, 1990

    一般社団法人 日本アレルギー学会

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