アトピー性皮膚炎児の皮膚反応性に対する検討 : Skin Chamber法によるHistamine, Tryptaseの変動 第1編

  • 椿 俊和
    東京慈恵会医科大学小児科学教室:国立小児病院小児医療センター免疫アレルギー研究部
  • 斎藤 博久
    国立小児病院小児医療センター免疫アレルギー研究部
  • 飯倉 洋治
    国立小児病院小児医療センター免疫アレルギー研究部:国立小児病院アレルギー科

書誌事項

タイトル別名
  • DERMAL REACTIONS IN CHILDREN WITH ATOPIC DERMATITIS : Changes in Histamine/Tryptase Levels in Skin Chambers Report 1

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抄録

今回我々は, アトピー性皮膚炎児の皮膚の反応性を, スキンチャンバー法を用いて持続的に単一の抗原を皮膚に負荷することによって遊離されるhistamineとtryptaseを測定し, その動態から検討し, I型アレルギー反応の関与を推察した. 対象は, 国立小児病院に入院・通院中の中等症以上のアトピー性皮膚炎患児46名(男23名・女23名, 平均年齢10.6±4.3歳)を対象とし, スキンチャンバー法を用いてダニ抗原刺激を入院時に行い, 回収した抗原液中のhistamineおよびtryptase濃度を測定し, 比較検討した. 入院時では, チャンバー内のhistamine濃度は, コントロールと比較して, 6, 12, 24時間で有意な上昇が認められた(p<0.01). それに対してtryptaseは2時間値が高く, 以後経時的に低下していた. 2時間値と24時間値の2点においてhistamineとtryptaseの相関をみると, 2時間値では相関係数0.954と高い相関が得られたが(p<0.01), 24時間値では有意な相関は得られなかった. 以上より, 重症アトピー性皮膚炎児は皮膚の反応性が高く, 抗原刺激に対して強い反応を示すことがわかり, また, その即時型反応の発現にはマスト細胞が, 遅発型反応の発現には好塩基球が関与していると考えられた.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 42 (12), 1794-1799, 1993

    一般社団法人 日本アレルギー学会

被引用文献 (1)*注記

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