白血球遊走阻止試験による薬剤過敏性肺炎の検討

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タイトル別名
  • A STUDY OF CLINICAL SIGNIFICANCE OF LEUKOCYTE MIGRATION INHIBITION TEST IN DRUG-INDUCED HYPERSENSITIVITY PNEUMONITIS

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抄録

薬剤性肺炎疑診患者71例に対して白血球遊走阻止試験(LMIT)による起因薬剤の検出同定を行った. LMITは, 71例中61例(85.9%)に陽性を示し, 白血球遊走促進因子(LMAF)は22例(30.9%), 同阻止因子(LMIF)は39例(54.9%)に検出され, LMIFを有意(p<0.05)に多く検出した. 間質性肺炎と好酸球性肺炎では, LMITの陽性率に差を認めなかった. 全被疑薬剤180剤中66剤にLMIT陽性薬剤が検出され, 抗菌剤が33剤で50%を占め, 漢方薬製剤が11剤で続いた. 抗菌剤では, β-ラクタム系薬剤が16剤で半数近くを占めた. β-ラクタム系薬剤肺炎ではLMAF, 漢方薬製剤肺炎ではLMIFが多く検出され, 両者に有意差(p<0.005)を認めた. 更に, β-ラクタム系薬剤肺炎は10日前後, 漢方薬製剤肺炎は数カ月の潜伏期間を有し, 両者に有意差(p<0.001)を認めた. 以上の結果から, 薬剤過敏性肺炎の起因薬剤の同定にLMITは有用であり, その発現に遅延型過敏反応が中心的役割を演じ, LMIFの関与が高いと考えられる. また, β-ラクタム系薬剤と漢方薬製剤による肺炎は, 発現機序が異なることが示唆された.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 44 (12), 1401-1409, 1995

    一般社団法人 日本アレルギー学会

被引用文献 (13)*注記

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参考文献 (30)*注記

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