アトピー性疾患における末梢血単球表面のL-Selectinおよび血清中の可溶性L-Selectin

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  • L-SELECTIN EXPRESSED ON PERIPHERAL MONOCYTES AND SOLUBLE L-SELECTIN IN SERA IN ATOPIC DISEASES

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抄録

アトピー性疾患におけるL-selectinの関与を検討する目的で, 末梢血中の単球表面に発現したL-selectinおよび血清中の可溶性L-selectin(sL-selectin)を測定した.対象は気管支喘息患者7名(BA群), アトピー性皮膚炎患者6名(AD群), スギ花粉症患者12名(P群), および健常人9名(C群)である.末梢血中の単球上のL-selectinはflow cytometryにより検出し分析した.血清中のsL-selectinはenzyme-linked immunosorbent assayによって測定した.単球上のCD62Lの平均蛍光強度は, C群(平均81.7)と比較すると, BA群が有意に高く(平均110.4, p<0.05), AD群も高い傾向(平均101.3, p<0.08)が認められた.血清中のsL-selectinは, いずれの疾患群もC群と比較して有意な差はみられなかった(BA群:1054ng / mL, AD群:1226ng / mL, P群:945ng / mL, C群:1052ng / mL, 平均値).対象患者全体(BA, AD, P, C群の総合)での血清中sL-selectinと年齢との間には負の相関関係が認められた(r=-0.69).今回の結果から, アトピー性疾患において, L-selectinは末梢中血中の単球の炎症局所への血管外遊出に関与している可能性が示唆された.血清sL-selectinは軽度で非発作期のアトピー性疾患においては正常レベルであったが, 小児において高値を示すことから小児期のアトピー性疾患の病態への関与も考えられる.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 49 (5), 397-403, 2000

    一般社団法人 日本アレルギー学会

参考文献 (25)*注記

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