富山県笹川方言における形容動詞述語形式 : 名詞述語と異なる「~ナ」「~ナカッタ」等を中心に

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タイトル別名
  • Two types of Adjectival Noun Predicates in the Sasagawa Dialect : A Comparison with Noun Predicates
  • トヤマケン ササガワ ホウゲン ニ オケル ケイヨウ ドウシ ジュツゴ ケイシキ メイシ ジュツゴ ト コトナル ナ ナカッタ トウ オ チュウシン ニ

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抄録

富山県笹川方言における形容動詞述語形式には, 名詞述語と同形の「~ジャ/ジャッタ/ジャロー」等とともに, 名詞述語とは異なる「~ナ/ナカッタ/ナカロー」等がある。「~ナ」は連体用法のほかに終止用法も持ち, また「カ」(疑問の「か」)や「ミタイナ」(みたいだ)が後続する場合にも使われるが, 「~ジャ」は終止用法しか持たない。また, 終止用法では, 「~ナ」は詠嘆文で, 「~ジャ」は真偽判断文で用いられやすいという違いがある。そこで, 「~ナ」は, 形容詞の「~イ」形と同じように, テンス・モダリティに関して無標の形式であり, 「~ジャ」は〈断定〉を表す有標の形式であると考えられる。「~ナカッタ/ナカロー」などの形式は「~ナ+付属的用言カッタ/カロー/…」, 名詞述語と同形の形式は「語幹形+付属的用言ジャ/ジャッタ/…」と分析できる。以上から, この方言の形容動詞は, 名詞とは異なる述語形式もとるものの, 類型論的には名詞的性格が強いと言える。

収録刊行物

  • 國語學

    國語學 52 (3), 30-44, 2001-09-29

    日本語学会

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