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Abstract
本発表は,従来,評価成分とされてきた「残念ながら」「失礼ながら」などのような「ーながら」が,同範疇のものとされる「残念にも」「残念なことに」のような「-くも・にも」「-ことに」形式とは異なって,推量・意志・依頼・疑問文に現れる用法について検討を行ったものである。従来,「残念ながら」「失礼ながら」などが「-くも・にも」「-ことに」と同質の範疇のものとされる理由は,評価的に働く「残念」とか「失礼」とかの形容詞・形容動詞の意味の働きに拠るところと,それが命題の枠外の要素であるという二点においてである。このような基準をもって,用例を収集した結果,次のようなものが挙げられる。残念ながら,遺憾ながら,不本意ながら,(お)気の毒ながら,不憫ながら,(身,自分)勝手ながら,失礼ながら,失敬ながら,不遜ながら,略儀ながら,(ご)面倒ながら,(ご)足労ながら,僭越ながら,不肖ながら,はばかりながら,恐縮ながら,おそれながら上記に示した「Xながら」の特徴を検討した結果,「Xながら」には「残念ながら」「面倒ながら」のように評価性と対人関係的配慮とが重なり合っているものと,「おそれながら」「恐縮ながら」などのように評価成分としては捉えにくく,対人関係的配慮が主な意味合いとなるものがあることが観察され,「-ながら」は,対人関係的配慮が深く関わっている形式であるということが明らかになった。「-くも・にも」「-ことに」のように評価のみの形式は,実現・確定された内容についてしか用いられないのに対して,対人関係的配慮が関与する「-ながら」は対人配慮の在り方によって,推量・意志,依頼,さらに,疑問文にまで現れ得る。このことは,評価成分とされてきた「-ながら」形式を評価性だけではなく,対人関係的配慮という観点からも捉えることができる,ということになろう。
Journal
- Kokugogaku : studies in the Japanese language [List of Volumes]
-
Kokugogaku : studies in the Japanese language 52(3), 87, 2001-09-29 [Table of Contents]
The Society of Japanese Linguistics