子ども向けに書かれた文章の表現特性 : 「小学生新聞」を対象に  [in Japanese]

Abstract

本発表は,ある書き手が同じ情報を伝える際に,対象とする読者が大人/子どもと異なることによって,どのように書き分けているかについて考察したものである。小学生新聞が一般向け新聞に比べ,「わかりやすい」といった印象を抱くが,その印象が生じる要因を,一般の新聞/小学生新聞を比較することで見ていった。今回は,小学生新聞と一般向け新聞の記事で文章内容が対応する箇所を抽出し,小学生新聞の文章の特徴について表現と文章構造の面から概観し,そのタイプ分けを行った。分析の結果,小学生新聞の特徴は,「言い換え」・「書き手の主観の追加」・「情報の提出順序の入れ替え」の3点に集約された。「言い換え」では,語句のレベルで小学生にわかりやすく言い換えた例を「分類語彙表」の分類番号の比較により意味の一致度を調べた。分類番号にずれが生じる例では,「所蔵」を「ある」に言い換えるなど,漢語の意味の中核部分を取り出して,和語化することで表現の簡略化が起こっていた。「書き手の主観の付加」では,一般の新聞で書かれた情報に,「痛ましい」など,書き手の解釈や評価,価値判断を書き加える例が見られた。読者の小学生を1つの価値観へと導こうとの意図が感じられた。「情報の提出順序の入れ替え」では,文章構成について小学生向けに書き換えられている例を取り上げた。記事本文を情報のまとまりごとに分解し,一般の新聞と小学生新聞の情報を対応させることで文の配列のちがいを見ていった。連体修飾を解く例,時間の経過に沿って情報を並べ替える例,誘導のことばとして同じ情報を繰り返す例,一般の新聞で帰納的に描かれていたものを小学生新聞では結論→根拠の順で演繹的に述べる例が見られた。最後に,子どもにとってわかりやすいと大人が想定した小学生新聞の文章を,読者の小学生がどう受け止めるかについては今後の課題にしたい。

Journal

Kokugogaku : studies in the Japanese language   [Journal Detail]

國語學  52(3)  pp.94 20010929  [Index]

The Society of Japanese Linguistics

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Codes

  • NII Article ID (NAID):
    110002533753
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID):
    AN00087800
  • Text Lang:
    JPN
  • ISSN:
    04913337
  • Databases:
    NII-ELS 

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