日本語における「種類」に関する語の出現位置と特性 : 「いろいろ」を中心に  [in Japanese]

Abstract

現代日本語の「いろいろ」という語は,文中で,主に次の(1)(2)の文法的機能を果たしている。(1)「いろいろな・いろいろの」(以下,「_な/の」と記述)の形式で名詞句に掛かる。(2)「いろいろ・いろいろと」(以下,「_φ/と」と記述)の形式で述語に掛かる。このことは,小説(新潮文庫の100冊収録の16作品)と新聞(朝日新聞1993.1.1.〜1999.12.31.)に現れた「いろいろ」の420の用例の96.7%が(1)(2)であったことから言えるものである。名詞句を修飾する「_な/の」と述語を修飾する「_φ/と」には,少なくとも次の二つの相違点がある。第一に,「何がいろいろであるのか(「いろいろ」である物事は何か)」に違いがある。「_な/の」を含む文では,「いろいろ」である物事は,「_な/の」が直接掛かっている名詞であり,この名詞は必ず文の表面に現れていて明らかである。これに対して,「_φ/と」を含む文では,「何がいろいろであるのか」には述語が意味的に関与しており,「何がいろいろであるのか」は,明示的ではなく曖昧である。この相違点は,次のような例文における形式と意味の違いから考察されるものである。(1)a.いろいろな問題を考えた。b.問題をいろいろ考えた。c.いろいろ考えた。第二に,「いろいろ」である物事を表す名詞句が「いろいろ」以外の修飾語(以下,「他の修飾語」と記述)を伴なっている場合に違いがある。「いろいろ」が他の修飾語より意味的にスコープが広い場合には,「いろいろ」は「_φ/と」の形式が用いられる傾向が非常に強い。これに対して,「いろいろ」が他の修飾語より意味的にスコープが狭い場合には,「いろいろ」は「_な/の」の形式が用いられる。この相違点は,次のような例文に見られる。(2)a.いろいろやめるにしのびない料理がありまして…b.友達のいろいろな面に気づき…「いろいろ」という語は,もともと複数の意味を持っていることから,意味的に数量詞と共通点がある。このことから,「いろいろ」と数量詞は,文法的機能にも何らかの共通点があるものと推測される。今後,「いろいろ」と数量詞の特性を比較・分析することによって,新たな知見が得られるのではないかと考える。

Journal

Kokugogaku : studies in the Japanese language   [List of Volumes]

Kokugogaku : studies in the Japanese language 52(3), 97, 2001-09-29  [Table of Contents]

The Society of Japanese Linguistics

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Codes

  • NII Article ID (NAID) :
    110002533757
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID) :
    AN00087800
  • Text Lang :
    JPN
  • ISSN :
    04913337
  • Databases :
    NII-ELS