北海道産シマフクロウ(<i>Ketupa blakistoni blakistoni</i>)における住血原虫ヘモプロテウス属の感染状況

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タイトル別名
  • Epidemiological Survey of Haemoproteus sp. Found Blakiston's Owls (<i>Ketupa blakistoni blakistoni</i>) on Hokkaido Island, Japan
  • 北海道産シマフクロウ(Ketupa blakistoni blakistoni)における住血原虫ヘモプロテウス属の感染状況

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抄録

生息数が減少し,絶滅が危惧されている北海道産シマフクロウ(Ketupa blakistoni blakistoni)においてヘモプロテウス(Haemoprotes)属の感染状況を把握し,個体群の保護管理に役立てる目的で,1994年11月から1999年8月までに採取された野生または飼育下の70羽分,計98枚の血液塗末標本から本属原虫の検出を行った。その結果,野生の2ヶ月齢,7ヶ月齢の各1羽および1歳以上の5羽すべてに感染を認め,その赤血球内寄生率はいずれも1%未満と非常に低いものであった。シマフクロウの2ヶ月齢の個体は巣もしくはその周辺に行動圏が限られていること,また7ヶ月齢の個体では親が同時期に感染していたことから,親の行動圏内の極めて狭い範囲で家族内感染などが起こっていることが示唆された。若齢のシロフクロウ(Nyctea scandiaca)において本属原虫症による臨床症状や死亡例の報告があることから,体力や免疫能が十分に発達していない幼鳥においては健康状態を管理していく上で特に注意を要する。本属原虫はフクロウ科において種間感染を起こす可能性があり,本調査地付近のフクロウ(Strix uralensis)において本属原虫の感染率が高いことが飼育個体で確認されていることから,シマフクロウの個体群に及ぼす本属原虫の影響を明らかにするためにも,種の同定やフクロウ科全般を対象にした感染状況調査をシマフクロウ個体群の生息地別に実施することが望まれる。

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