胸腔穿刺により確定診断が得られなかった胸膜炎症例に対するSemi-flexible Thoracoscopyを用いた局所麻酔下胸腔鏡検査の有用性

  • 鏑木 孝之
    茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター内科
  • 雨宮 隆太
    茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター外科
  • 黒田 久俊
    茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター内科
  • 長田 陽介
    茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター内科
  • 戸川 真一
    茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター内科
  • 清嶋 護之
    茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター外科
  • 朝戸 裕二
    茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター外科
  • 横瀬 智之
    茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター病理

書誌事項

タイトル別名
  • Medical Thoracoscopy for Patients With Pleural Effusion of Unknown Origin Under Local Anesthesia

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抄録

目的.オリンパス社製の胸腔ファイバースコープLTF-240を内視鏡検査室で使用し,胸水の検索で確定診断が得られなかった症例に局所麻酔下に胸腔鏡を行い有用性を検討した.対象と方法.2001年1月から2002年5月の期間に胸水貯留を認め1回以上の採取胸水の検討により細胞診・細菌学的に確定診断に至らなかった24例に局所麻酔下で診断的胸腔鏡を施行した.検査は全例が内視鏡室で施行された.局所麻酔下に中腋窩線第5〜7肋間に皮切を置き,同部よりポートとしてフレキシブルトロッカーを挿入した.先端がフレキシブルな細径胸腔ビデオスコープ(LTF-240)をビデオユニットで使用した.病的所見が観察される際には,壁側胸膜の病変部を主として生検した.結果.24例中10例が悪性腫瘍の胸膜病変で,内訳は原発性肺癌4例,転移性胸膜腫瘍(腎癌2例,胃癌,耳下腺癌)4例,胸膜中皮腫,胸壁原発神経外胚葉性腫瘍の各1例であった.7例が多発結節を認め,1例は内視鏡的には胸膜肥厚のみ,2例は線維素性胸膜炎の所見であった.24例中6例が感染症に起因する胸膜炎と診断され,5例は胸腔鏡検査によっても胸膜炎の病因は明らかにならなかった.また多房性隔壁を形成する線維素性胸膜炎に対する隔壁破壊が肺の拡張を促す治療効果も得られた.検査に伴う合併症は一時的な胸痛と皮下気腫のみであった.結論.本法は悪性腫瘍胸膜病変については検出能力が高いことが示唆され,呼吸器内科医が一般臨床で行える安全で有用な検査と考えられる.(気管支学.2003;25:90-96)

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 25 (2), 90-96, 2003

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (14)*注記

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