嚢胞性肺疾患に対する胸腔鏡手術(胸腔鏡による診断と治療 : 現況と将来)(第 17 回日本気管支学会総会)

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抄録

嚢胞性肺疾患は特発性自然気胸の原因となるような肺嚢胞, 巨大肺嚢胞, 嚢胞性肺気腫などがある。これらの疾患は基本的には良性疾患であり, 胸腔鏡手術のよい適応となり得る。特に巨大肺嚢胞, 肺気腫の症例は既に閉塞性呼吸障害を有していることが多く, 低侵襲の胸腔鏡手術による利点が十分に生かされてくる。今回われわれはこれらの気腫性肺疾患症例に対し胸腔鏡手術で嚢胞切除, 気腫肺のレーザー焼灼を行い良好な結果を得た。手術死亡, 重篤な合併症はなく, 術前, 術後の呼吸機能検査成績の得られた8例では, フローボリュームのピーク, 残気量, 総肺容量で有意に改善がみられ, 一秒量, 最大中間呼気流量も改善する傾向がみられた。呼吸困難の強い2例に対し両側の手術を行ったが, 全ての呼吸機能検査項目で著しい改善をみた。これらのことから, 気腫性肺疾患に対する胸腔鏡手術は有効であると言える。

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 16 (8), 753-755, 1994

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

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