悪性気道狭窄に対する高線量率ステント腔内照射に関する基礎的検討

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タイトル別名
  • Basic Study for Endobronchial High Dose Rate Brachytherapy Using MicroSelectron HDR inside the Stent

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抄録

悪性疾患による気道狭窄に対し, 気道の開存をはかりつつ同時に原疾患に対して有効な治療を行う目的で, 気道内にステントを留置後, マイクロセレクトロンHDRを用いた高線量率腔内照射をステント内に行うことを企図した。まず基礎的検討として, ステント留置に伴う線量補正の必要性について検討した。アクリル製水ファントムにマイクロセレクトロンHDRに接続した気管支用アプリケーターと線量計を20mmの距離をおいて全身照射用眼球防護器具を利用して固定後, 水没させた。用いたステントはDumonステント(NOVATECH製, 内径10, 13, 15mm, 長さ50mm)で, 他に材質による差異を検討するためにZステント(COOK製, 内径6, 8, 12mm, 長さ45mm)も併せて検討した。線量測定は, 各ステントとも線源から異なる4点(20, 22, 28, 36mm)で同時に施行し, 各ポイントとも2分間の積算線量で比較した。対照群としてステントを用いずに2回の計測を行った。その結果, 全測定点で両ステントとも, ステント装着による線量の増減は1%未満であった。よってステント内への高線量率腔内照射では, ステント装着による1%未満の散乱線寄与を認めたが, 特に治癒線量への線量補正の必要がない事が示唆された。以上の結果をふまえて, 右側肺全摘後の気管分岐部から左側主気管支内再発症例に対し同部にDumonステントを留置後, ステント内腔にマイクロセレクトロンHDRを用いた高線量率腔内照射を施行し, その初期経験も報告した。

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 19 (3), 195-199, 1997

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

参考文献 (8)*注記

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