気管支肺胞洗滌法により採取した喫煙者肺胞マクロファージの形態と機能の検討

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  • Studies on Morphology and Function of Alveolar Macrophages Obtained by Bronchoalveolar Lavage from Smokers and Nonsmokers

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抄録

肺胞領域に対する喫煙の影響を明らかにする目的で健康な喫煙者15名と非喫煙者12名, 計27名を対象に気管支肺胞洗滌を行ない, 採取された肺胞マクロファージの形態と機能を比較検討した。喫煙者では非喫煙者に比べ肺胞マクロファージ数は著明に増加し, 細胞のライソゾーム酵素(β-galactosidaseとacid phosphatase)活性は有意に上昇していた。さらに, 細胞のガラス付着能, 伸展能およびNBT還元能は亢進し, ブドウ糖消費量も増加していた。走査電顕による細胞表面形態の観察では, 非喫煙者の肺胞マクロファージは円い形をして波状の膜でガラス面に付着していた。喫煙者の肺胞マクロファージは伸展して扁平な形を呈するものが多く, ガラス面には多形性に付着していた。すなわち, 喫煙者の肺胞マクロファージは形態的にも機能的にも活性化の所見を呈していた。喫煙者ではこのような活性化肺胞マクロファージから遊離されるスーパーオキサイドなどの活性酸素およびライソゾーム酵素が周囲の肺組織に傷害を与え, 慢性閉塞性肺疾患の発症へと導くものと推測される。

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 6 (1), 25-33, 1984

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

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