臨床診断に難渋した頸部気管腺様嚢胞癌の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Rapidly Progressive Adenoid Cystic Carcinoma of the Cervical Trachea Diagnosed at Autopsy

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抄録

症例は73歳, 女性。1997年9月に乾性咳嗽, 全身倦怠感, 嚥下困難で発症。1997年12月胸部X線写真上, 両側肺に散布する径1cm以下の多発性結節陰影を認めたため, 精査目的で入院。頸部気管および甲状腺左葉に接して径2cmの腫瘤陰影を認め, 甲状腺癌ないし気管原発の悪性腫瘍の肺を含めた全身への血行性転移を疑い精査を進めた。入院精査中にも全身状態は急速に悪化, 入院第38病日に死亡した。剖検の結果, 頚部気管原発の腺様嚢胞癌の病理診断を得た。腺様嚢胞癌は一般に発育の緩徐な低悪性度の腫瘍とされているが, 本症例のような発症6ヵ月で広汎な全身転移を来たし死亡した急速進行例は非常に稀であり貴重な症例と考え報告した。

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 21 (6), 397-402, 1999

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (11)*注記

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