サクラマス幼魚の越冬場を形成する河畔樹木の役割

書誌事項

タイトル別名
  • The Role of Riparian Trees in Providing Wintering Habitat for Juvenile Masu Salmon (<I>Oncorhynchus masou</I>) in Southwestern Hokkaido, Northern Japan
  • サクラマス ヨウギョ ノ エットウジョウ オ ケイセイ スル カハン ジュモク ノ ヤクワリ

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抄録

北海道南西部を流れる積丹川において, 冬期間のサクラマス幼魚の生息環境と河畔植生の関係を1995年と1996年の2カ年にわたって調査した。調査方法として, 河川を1m四方のメッシュに区切り幼魚の分布と物理環境を調べたところ, 川岸よりの流れが緩く積雪により押しつぶされた植生下で多く捕獲された。具体的な越冬環境の物理条件としては流速が0.2m/s以下で高いカバー被覆率がある細粒の底質が好まれており, 水深に関しては一定の深さを好む傾向が見られなかった。さらに越冬時のサクラマス幼魚の胃内容物を調べたところ, 夏と比べて胃内容物指数が小さく, 周辺に生息する小型の水生昆虫をわずかに摂食しているにすぎなかった。メッシュを幼魚の密度により3タイプに分類し判別分析を行ったところ, 水中カバー, ついで表面流速などの環境因子が越冬場を決定する重要な要因として選択され'た。以上のことから, 冬季間サクラマス幼魚は流速の緩い積雪に覆われたカバー下を主に利用しており, こうした環境を創る上で倒木や河畔林から伸びる枝はきわめて重要な要素となることがわかった。

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参考文献 (23)*注記

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