Qスレッド : 連続メディアの動的QOS制御に適したプロセス実行モデル

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  • Q-Thread : A New Execution Model for Dynamic QOS Control of Continuous-Media Processing

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我々は,Real-Time Mach3.0(以下RT-Machと略す)を拡張する形で,連続メディア処理を行なうための基盤ソフトウェアの研究開発を行なってきている.その研究テーマの一つとして,連続メディア処理の記述に適したプロセス実行モデルの実現があげられる.連続メディアの一つの特徴は,その名のとおり処理が連続的,周期的に行なわれることであり,そのためのプロセス実行モデルとしては,一定周期でエントリポイントが呼び出される「周期的実行モデル」が有効であると考えられる.我々が研究のベースとして用いているRT-Machでも,周期的実時間スレッドが提供されており,毎回の呼び出し時に一まとまりのメディアデータ(例えばビデオの1フレーム)を処理することで連続メディア処理が行なえる.しかし,周期的実時間スレッドは元来実時間処理のためのプリミティブとして用意されたものであり,必ずしも連続メディア処理に適していない部分がある.例えば,タスクセットが定義されているような静的な実時間処理とは違い,連続メディア処理では,ユーザの操作などによりシステム環境が動的に変化していくことが普通である.このような環境でも処理の実時間性を保証するためには,資源使用の保証(Reservation)がある程度できることがのぞましい.また,連続メディア処理では,処理のサービスの質(QOS:Quality of Service)を調整することで,メディアのもつ時間的制約を守りつつ処理量を変更することが可能であり,そのためには,実際に使用可能な資源に応じて処理量を適応(Adaptation)させていける仕組みがあることがのぞまれる.RT-Machの周期的実時間スレッドのモデル自体には,これらの機構は組み込まれていないため,連続メディア処理における動的QOS制御などを実現するためには,モデル外の機構を用いてユーザプログラム側で対処する必要があった.我々は,この点を改良し,周期的実時間スレッドに資源使用の保証と適応のための機構を組み込んだ,動的QOS制御に適した新しいプロセス実行モデル「Qスレッド」を開発した.

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