生体関連機能と分析化学  表面プラズモン共鳴センサーを用いる薬物スクリーニングと初期薬物動態の同時解析

書誌事項

タイトル別名
  • Analytical Chemistry related to Biofunctional Research. Simultaneous analysis of drug efficacy and early absorption, distribution, metabolism and excretion characterization using surface plasmon resonance sensor.
  • 技術論文 表面プラズモン共鳴センサーを用いる薬物スクリーニングと初期薬物動態の同時解析
  • ギジュツ ロンブン ヒョウメン プラズモン キョウメイ センサー オ モチイル ヤクブツ スクリーニング ト ショキ ヤクブツ ドウタイ ノ ドウジ カイセキ

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抄録

Biacore S51を用いて, カルボニックアンヒドラーゼ (CA) に対する34種類の低分子化合物の結合性を実験したところ, スルファニルアミド, カルボキシベンゼンスルホンアミド (CBSA), フロセミド, アゾスルファミド, アセタゾールアミド, ジクロルフェンアミド, クロロチアジド, ヒドロクロロチアジド, メタゾールアミド及びインダパミドの10種類の阻害剤のみが結合することが確認され, 擬陽性や擬陰性は全く見られなかった. また, 血清タンパク質であるヒト血清アルブミン (HSA) を固定化したセルを同時に用いることで, HSAへの結合性を同時に解析することができた. CAに対する結合安定性は, 結合量と一定時間解離後のレスポンスのプロットから評価した. アゾスルファミドは高い結合性と安定的な複合体形成を示し, 一方, インダパミドは比較的結合量が高いが, その複合体は極めて不安定で, 速やかに外れてしまうことが分かった. センサーチップ上のCAは, 72回の分析でも活性が全く失われなかった. また, アゾスルファミド, フロセミド及びインダパミドのCAに対する速度論的解析では, 結合速度定数 (ka), 解離速度定数 (kd) 及び解離定数 (KD) は, アゾスルファミドで5.3×104 (M-1 s-1), 9.0×10-3 (s-1), 1.7×10-7 (M), フロセミドで4.9×104 (M-1 s-1), 3.6×10-2 (s-1), 7.3×10-7 (M), インダパミドで2.5×105 (M-1 s-1), 1.0×10-1 (s-1), 4.2×10-7 (M) であった. また, 6種類の薬物を12回繰り返し分析した再現性試験の結果, CAに対する結合性は, フロセミドで33.5RU±0.6 (RSD=1.8%), インダパミドで40.6RU±0.6 (RSD=3.7%), メタゾールアミドで24.6RU±0.4 (RSD=1.5%), 更にヒドロクロロチアジドで, 27.6RU±0.4 (RSD=1.5%) と非常に高い再現性が得られた. 全薬物を分析 (72回分析) しても, 固定化したCAの活性は全く低下しなかった.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 51 (6), 461-468, 2002

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (9)*注記

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