超弾性Ni-Ti合金ワイヤーの機械的性質と相変態について : 第1報 超弾性と相変態の関係

  • 浜中 人士
    東京医科歯科大学医用器材研究所金属材料部門
  • 米山 隆之
    東京医科歯科大学医用器材研究所金属材料部門
  • 土居 寿
    東京医科歯科大学医用器材研究所金属材料部門
  • 岡本 安生
    東京医科歯科大学歯学部歯科矯正学第1講座
  • 茂木 正邦
    東京医科歯科大学歯学部歯科矯正学第1講座
  • 三浦 不二夫
    東京医科歯科大学歯学部歯科矯正学第1講座

書誌事項

タイトル別名
  • Mechanical Properties and Phase Transformation of Super-elastic Ni-Ti Alloy Wires : Part 1: Relation between Super-elasticity and Phase Transformation

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抄録

この研究では, 歯列矯正用超弾性Ni-Ti合金ワイヤーを臨床でより効果的に使用するために, その機械的性質と熱的挙動の関係について検討した.使用したワイヤーは, BLUE, YELLOW, REDの3種類の矯正用超弾性Ni-Ti合金ワイヤー「SENTALLOY」である.まずワイヤーの機械的性質を調べるために, 二点支持中央集中荷重法の抗曲試験で得られた荷重-たわみ曲線から, 超弾性特性の指標として超弾性指数を, 超弾性荷重レベルの指標としてE点荷重という2つのパラメータを導入した^<1)>.次に示差走査熱量測定法(DSC)で, 変態の際の熱量変化を分析し機械的性質と比較した.また, 500℃, 30分間の熱処理を施した試料についても検討した.今回用いた超弾性Ni-Ti合金ワイヤーの機械的性質の差異は, 変態温度よりもむしろ熱量変化のピークの大きさおよび形態という因子による影響の方が大きいと考えられる.このピークの値が高いものほど超弾性指数が高く, E点荷重は低い値をとる傾向が認められた.逆にピーク値の低いものは, 荷重レベルは高いが超弾性指数は低くなり, 持続的荷重という性質は弱くなった.熱処理を施した試料と比較したところ, 加工硬化の残留ひずみがこの性質の差に影響していると考えられる.

収録刊行物

  • 歯科材料・器械

    歯科材料・器械 8 (2), 207-215, 1989

    一般社団法人 日本歯科理工学会

被引用文献 (6)*注記

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