4-METを含むMMA系レジンのエナメル質に対する接着機構について

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タイトル別名
  • The Adhesion Mechanisms of MMA Resin Containing 4-MET to Dental Enamel

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抄録

4-メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)を含むMMA系レジンの接着機構を検討するため, 2つの実験を行なった. (1)ヒト小臼歯を用い, 接着したレジンを熱アセトンで溶解し, ⓐエナメル質側接着界面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに, ⓑ同表面に対し人工う蝕法を応用して耐酸性試験を行なった. 4-MET/MMA-TBBレジンあるいは4-MET/MMA-BPO・アミンレジンを溶解除去したエナメル質側接着界面には, アセトンにも酸にも難溶性の層が存在しており, 7日間の人工う蝕生成法によっても, う蝕様病巣は生成されなかった. 2-ヒドロキシ-3-β-ナフトキシプロピルメタクリレート(HNPM), メタクリル酸(MA)を添加したMMA-TBB系レジンの場合には, う蝕様病巣の生成は対照側に比べ30%ほど抑制されるが, 接着界面の難溶性の層は確認されなかった. (2)レジンとハイドロキシアパタイト(HAP)との混合物の赤外線吸収スペクトルを分析したところ, 4-METあるいはMAを含むMMA系レジンにおいては, 1, 560 cm-1付近にカルボキシレートの存在を示す吸収帯が生じることが分かり, Ca++との反応が強く示唆された. 4-METを含むMMA系レジンの接着界面において確認された酸にもアセトンにも難溶性の層は, 同レジンのエナメル質への優れた浸透性と反応性によって生じたと考えられ, 高い接着性に寄与しているものと考えられた.

収録刊行物

  • 歯科材料・器械

    歯科材料・器械 7 (3), 478-487, 1988

    一般社団法人 日本歯科理工学会

被引用文献 (6)*注記

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