ラット肝臓ペルオキシソームのコアの単離とウリカーゼとしての同定

書誌事項

タイトル別名
  • Isolation of the Peroxisomal Core from Rat Liver and Its Identification as Uricase

この論文をさがす

抄録

プリンの尿酸までの分解は全動物種に共通して存在するが, 尿酸以降の分解は種により異り, 高等動物ほど不完全である.我々はある種の魚類では, プリンから尿酸までの分解酵素群がシトソールに存在するのに対し, 尿酸の尿素とグリオキシル酸までの分解酵素群がペルオキシソームに局在することから, 動物の進化において, ペルオキシソームの酵素(ウリカーゼ, アラントイナーゼ, アラントイカーゼ)が選択的に脱落したことを示唆してきた.ウリカーゼは尿酸分解系における初発反応を触媒する.この酵素を持つ哺乳類の肝細胞には, 結晶性のコア(ヌクレオイド)があり, その組成は未だはっきりしていず, ウリカーゼのみという報告と他のタンパク質も含まれるという報告がある.本研究はラット肝臓からコアを単離し, その組成を明らかにしようとしたものである.まず, ラット肝臓からペルオキシソームをOsmundsenらの方法により単離し, その等張懸濁液をピロリン酸緩衝液で処理した(等量ピロリン酸-KOH緩衝液を加え, pHを9.0に調整し, 4℃で一夜放置).次にこれをバーチカルローターを用いて, 蔗糖密度勾配(30%-56%)遠心法により分画したところ, 遠心管の底部近くに, ウリカーゼ活性を持ち, カタラーゼ活性を持たないコアが沈降した.そこで, このコアを集め, SDS-電気泳動を行ったところ, 単一のタンパクバンドが得られた.またペルオキシソームの等張懸濁液を超音波処理後, 同様に蔗糖密度勾配遠心法により分画したところ, 同一の結果が得られた.以上の結果はコアがウリカーゼそのものであることを示している.なお, この非常に簡単なコア(ウリカーゼ)の単離法は他の哺乳動物の肝臓のコアの単離にも適用できるものと思われる.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ