ベイズ・アプローチによるグラフィカル・テスト理論

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タイトル別名
  • The Graphical Test Theory from Bayesian Approach
  • ベイズ アプローチ ニ ヨル グラフィカル テスト リロン

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抄録

グラフィカル・テスト理論は,教材構造を確率ネットワークとして定式化し,統計的意思決定論の枠組みによりテスト構成を行おうとするものである.しかし,当初,それが確率ネットワークと呼ばれるAI分野の比較的新しい技術の応用として定式化されたために,その統計モデルとしての定式化は正確には行われていない.ここでは,グラフィカル・テスト理論の基礎としての定式化を目的とし,1)ベイズ・アプローチによるグラフィカル・テスト理論の定式化,2)母数推定と構造推定法,3)予測分布最大化によるテスト情報量EVTINの定式化,4)従来のテスト理論との理論的比較について述べることにする.具体的には,古典的テスト理論や項目応答理論における線形制約よりも緩やかな仮定 : ディレクレー多項モデルをテストデータの発生モデルとして考え,パラメータ,構造のベイズ推定法を提案する.この場合,パラメータのみでなく教材構造モデルをベイズ推論を用いて同時に推定できるところがこのモデルの利点の一つである.また,項目応答理論との理論的比較について論じ,グラフィカル・テスト理論のハイパーパラメータが1をとるときに(事前分布が一様分布であるときに),項目数がある程度大きくなると項目応答理論モデルに一致することを導く.さらにグラフィカル・テスト理論におけるテスト情報量EVTINがテスト項目を増やしていくと,項目応答理論におけるテスト情報量のフィッシャー・テスト情報量に近似されることを導く.教材構造分析の観点からは,グラフィカル・テスト理論における構造推定がハイパーパラメータ1/(2 log n)を持つとき(漸近的に尤度と同一), IRS分析に一致することを示す.

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参考文献 (36)*注記

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