男子後部尿道筋の構造と分化についての発生学的検討

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  • MUSCULAR STRUCTURE AND DEVELOPMENT OF THE MALE POSTERIOR URETHRA
  • ダンシ コウブ ニョウ ミチスジ ノ コウゾウ ト ブンカ ニ ツイテ ノ ハ

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抄録

胎生7~17週の男性胎児の後部尿道筋の構造と分化について組織形態学的検討を行つた. 男子後部尿道筋構築の主要部分は機能解剖学的立場から, (1) 三角部および膀胱頚部の筋群, (2) 前立腺, (3) 尿道外括約筋部の筋群の三つに分けられた. 尿道において最も早く発生する筋は尿道横紋筋で8週に分化を開始し12週では明らかな横紋を認める. 尿道横紋筋は後部尿道前面を厚く覆い, 側面では後下方へ斜走し, 前立腺部では後方で交わらず, 膜様部では尿道全周をつつんで陰茎海綿体起始部付近まで続いている. 精丘下輪状平滑筋は9~11週の間に分化を開始し, 尿道横紋筋の内側を一部ではこれと混在するように発育してゆき, 走向も類似している. 前立腺芽は14週に発生するが, 前立腺平滑筋は17週になつてから分化しはじめる. これらの組織学的所見から, 胎生期における排尿 (尿の膀胱内貯留) は8週頃か遅くとも12週までには開始されているものと推測される. 上部および下部尿路筋の一連の発育経過における異常が先天性尿路疾患の成立の一因となり得る可能性について論じた.

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