右副腎褐色細胞腫摘除10年後に再発した褐色細胞腫の1例

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タイトル別名
  • A CASE OF PHEOCHROMOCYTOMA RECURRING 10 YEARS AFTER THE RESECTION OF RIGHT ADRENAL PHEOCHROMOCYTOMA
  • ウフクジン カッショク サイボウシュ テキジョ 10ネンゴ ニ サイハツシタ

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抄録

右副腎褐色細胞摘出後10年を経て左副腎および右腎門部に再発した良性褐色細胞腫の1例を報告した. 患者は22歳男で, 10年前当科で右副腎褐色細胞腫摘出術を受けた既往を持つ. 術後7年目に高血圧を指摘されたが, 放置していた. 術後10年目に鼻出血, 高血圧, 心不全, 肺炎にて他院に入院した. 尿中カテコールアミン高値のため褐色細胞腫の再発が疑われ当科へ転院した. 基礎代謝率の上昇, 尿中カテコールアミン高値, レジチン試験陽性および排泄性腎盂造影による左腎の外側下方への偏位, CTスキャンによる左副腎および右腎門部腫瘍の指摘から, 再発性褐色細胞腫と診断した. 左副腎より鶏卵大および右腎門部より, くるみ大の腫瘍を摘出した. 病理組織学的に, 初回摘出褐色細胞腫と同じ特徴を示し, 悪性所見はなかつた. 術後経過は良好で, 尿中カテコールアミン値は正常化した. 再発性良性褐色細胞腫は, 同時多発褐色細胞腫の取り残しでなく, 悪性褐色細胞腫の転移でもなく, 一定期間褐色細胞腫の自他覚症状を欠いて, 新たに再発してきたものと規定し, 本邦文献を検索したところ, 自験例を含め3例集計し得た. 全例25歳以下の男で, 家族性褐色細胞腫が1例含まれていた. 小児および家族性褐色細胞腫には, 同時発生, 異時発生の多発例が多いことから, われわれの症例もこれに該当すると思われる. とくに小児の褐色細胞腫では長期間の慎重な経過追跡の必要性が示唆された.

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