職業性と自然発生膀胱癌を第1癌とする重複癌, および泌尿性器系重複癌について

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  • DOUBLE CANCER OBSERVED FROM OCCUPATIONAL AND ENVIRONMENTAL BLADDER CANCER

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抄録

過去19年間に経験した職業性膀胱癌を第1癌とする重複癌 (肺癌, 肝癌, 胆管頚部癌, ホルモン非産生副腎皮質癌および直腸癌) の5症例と, 自然発生膀胱癌を第1癌とする重複癌 (胃癌3例, 直腸癌2例, 食道癌, 肺癌, 喉頭癌と腎癌の各1例) の9症例の臨床報告をすると共に, 本邦の泌尿性器系重複癌631例につき文献的, 統計的考察を試みた. 重複癌の発生頻度は1960年頃より急増している. 重複癌全体の平均年齢は65.9歳で, その83.5%は男性であった. 臓器別発生頻度を調べると, 膀胱319例 (54.4%), 前立腺132例 (22.5%), 腎131例 (22.4%) の順であった. 泌尿性器系と他臓器との重複癌は468例あり, 胃148例, 肺気管支63例, 大腸55例, 肝胆道系39例, 食道28例の順に多くみられた. 泌尿性器系領域内の重複癌は118例あり, 膀胱と前立腺36例, 腎と膀胱31例, 腎と腎盂・尿管23例の順に多くみられた. 重複癌の平均発生間隔は5.7年であり, 同時性重複癌は52.4%であった. 重複癌の発生因子に関連する既往歴, 家族歴, 職業歴, 喫煙歴と第1癌の治療法に関し分析検討を行った. 職業性膀胱癌に併発する重複癌の発生率が, 自然発生膀胱癌のそれより高率であることを示唆すると共に, 従来, 芳香族アミンに関する発癌は尿路系にのみ注目されてきたが, 今後はさらに慎重に, 他臓器癌の有無をも監視することが必要であることを強調した.

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