経尿道的前立腺切除術 (TURP) における術中回収自己血輸血

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タイトル別名
  • AUTOLOGOUS BLOOD RETRANSFUSION IN TRANSURETHRAL RESECTION OF PROSTATE (TURP)

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抄録

TURPの際の灌流排液から自己血回収を行い, 17例でその戻し輸血を行った. うち, 8例では, 術前自己貯血の戻し輸血を併用した. 回収自己血輸血のみを行った9例の平均切除重量は30.6g, 平均切除時間は63分, 平均回収血液量は355mlであり, 術前貯血の戻し輸血を併用した8例では, それぞれ46.1g, 78分, 703mlであった. 17例中同種血輸血を行ったものはなかった. 術前尿培養で菌を検出されたのは12例 (70.6%) であったが, 回収血液の細菌培養では2例 (11.8%) で陽性となった. 術前の検血値を100%とした場合の, 術後の検血値の検討では, 自己血のみの戻し輸血を行った9例では, 術直後83.8%, 戻し輸血後96.8%, 後翌日90.9%, 1週後85.2%となった. また, 回収自己血と術前貯血の両方を戻し輸血した8例では, それぞれ86.9%, 102.6%, 101.4%, 97.5%であった. 回収自己血輸血の副作用は全くなかった.<br>以上より, TURPにおける回収自己血輸血は, 術後の血液状態を良く保つことができ, 術前貯血の戻し輸血を併用することで, 術後の検血値は手術直前の検血値を上回るほどになった. 回収自己血は, 臨床的にも極めて安全で, 有効な輸血血液であった. 術中回収自己血の戻し輸血を行うことで, TURPにおいては同種血輸血の必要は全く無かった.

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